プリンセス イレーネ

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『自然との対話』イレーネ・ファン・リッぺ=ビースターフェルト著 風雲舎刊
木や草花、動物たちとつながる生き方
【 日本図書館協会選定図書 】

目次
1章 少女時代
2章 新しいバランスを求めて
3章 どの道を行くか
4章 目覚め
5章 あらゆる生命をつなぐ絆
補章 私のワークショップから

木や草花、動物たちと会話するオランダ王女。
各地でワークショップを開催。
1939年、ユリアナ前オランダ王女とベルンハント公夫妻の第二子として生まれる。
伝統ある王家の習慣と建前にしばられた暮らしに馴染むことができず、幼い頃から木、草花、虫などの自然界の生きものに親しむ。
結婚、やがて離婚。四人の子供をかかえたシングルマザーのキャリアウーマンとしに変身。
この世の現実と苦闘するなか心機一転を図って自己成長のためのワークショップを受け、しだいに幼年期から感じていた自然との絆を深める。
本書はオランダでベストセラーとなり、英語版にも翻訳され、自然愛好家の必読本となった。(表紙より)

●2章 新しいバランスを求めて ●
自然の生命とつながる

その夏、森や高原を歩きまわるうち、私と他の生きものを隔てる壁は消えてしまいます。深い次元を感じとれるようになったようです。私はまず、あらゆるバイブレーションを感じて、耳を澄ませました。そしてカラマツとお喋りしました。生命のありのままの姿を見つめ られるようになると、色が鮮やかに見えてきます。まるで、色が私をその深みに招き入れてくれるみたいです。私は風に吹き飛ばされそうなほど繊細な自分を感じます。畏れを手放したら、植物、花、木、風、山の、微細なエネルギーを感じとれるようになったのです。色、バイブレーション、香りに。なぜ急にこんなことが起こったのでしょうか。疲れすぎていたからでしょうか。私人間なのに、こんなことが本当にありうるのかしら。

あらゆる生命がコミュニケーションをしており、私はいま、その一員になりつつあるのです。シンプルで、現実的でした。なにより真実なのです。私の手、くちびる、肌が、あらゆる生命に触れているみたい。私はジュニパーべリーやトウヒ、太陽の石、小さな花、朝露、牛の堆肥の香りを吸いこみたいという衝動にかられます。みんな生命の一部なのですから。小さなマーモットが隠れ家から風のなかに頭をつきだし、小さな守護者のように立っているのが見えます。生命への愛が全身を清め、優しさが私のなかから湧き起こってきます。それは、人間のコミュニケーションとはまったく異なります。

言葉やしぐさより、もっと 深いのです。「すること」(doing)でなく「あること」(being)に関わるため、無限の深み をもつのでしょう。とても古くて繊細な「存在そのもの」(beingness)を思い出させるのです。

毎日魔法の時間が流れ、私は強烈な感情を味わいます。新しい人生が開けてきたのです。ある午後、私は何かに呼ばれて小屋を出ます。なんてことでしょう。私の真上には太陽が輝き、右ほとんど1メートルも離れていないところでは雨が静かに降っていて、左には壮麗な虹が広い谷を包んで輝いているのです。私は数回深呼吸して、全体を見渡します。この瞬間、不可能はないみたい。これほど広々した空間は、生まれてはじめてでした。私は本当に自由です。世界すべてに心を開いています。私は雨のなか、太陽の下、そして虹のもとで、思うぞんぶん踊りました。

けれど、私はこれらすべてを反芻する暇もなく、家に帰らなくてはなりませんでした。 欧米社会という暴力のなかに戻る前に、心に鎧をまとう余裕もありませんでした。私は不思議な感覚に満たされて、心を開き、傷つきやすいままでした。そして、それは私のなかの深いレベルに語りかけ、新しい可能性を開いたのです。

出典:http://www.fuun-sha.co.jp/pdf/20.pdf
株式会社 風雲舎
URL: http://www.fuun-sha.co.jp

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